CPA高騰に危機感。潜在層と繋がり、会員登録や面談予約へ導くLINEを活用したプロセス変革に迫る
株式会社ネオキャリア
- 業界 :
- 人材
- 課題・目的 :
- 新規集客

人手不足が深刻化する日本では人材の取り合いが加速。人材業界が活況となる一方で、競争の激化やサードパーティクッキーの廃止にともない、広告CPAの悪化が課題となっています。会員ひとりの登録を得ることが大変な現況で、人材会社に求められるのがマーケティング手法の変化です。
今回のインタビューでは新たな顧客獲得プロセスを構築し、会員登録を増やしている株式会社ネオキャリアさまの成長戦略について伺いました。
会社名:株式会社ネオキャリア
サービス名:第二新卒エージェントneo
URL:https://www.daini-agent.jp/
紹介事業本部 リーベルキャリア事業部Webマーケティング担当
保宗 紅菜様
効果と戦略
課題
- 新規会員獲得のためのWeb広告CPAの高騰
- Webサイトの離脱対策が不十分
- LINEマーケティングを実行するためのリソース不足
戦略
- Webサイトからの離脱ユーザーとLINEで接点を構築
- 求職者の希望条件・求職意欲を可視化し、ナーチャリングを実施
- 既存会員向けにLINE経由で面談予約ができるフローの構築
成果
- 1会員あたりの登録CPA改善
- LINE経由での面談予約を実装し、求職者の利便性向上
- 面談予約数の増加
CPAの高騰に危機感。離脱は、広告費を掛け捨てと同じ。
はじめに貴社の事業概要と業務内容・役割について教えてください。

保宗様:株式会社ネオキャリア(以下、ネオキャリア)は、2000年に中途採用支援と求人広告事業から誕生した企業です。私が所属する部署の運営する「第二新卒エージェントneo(以下、エージェントneo)」事業は、20代に特化した就職・転職支援サービスで、弊社の就活アドバイザーが求職者のキャリアプランニングを支援しています。
私はマーケティングチーム全体を管轄するグループマネージャーというポジションで、求職者様との面談数の最大化をミッションとしています。具体的には面談数を最大化をするためのマーケティング施策全般(広告の予算配分、集客拡大施策の立案・実行など)を担当しています。
人材業界の現状について教えてください。
日本は人手不足が深刻化しつつあります。私がネオキャリアに入社した8年前と比べると人材業界は副業、短期バイトなどの新しいトレンドも巻き込みながら、さらに盛り上がっています。私たちのターゲットとする若年層の就職/転職市場にも大手企業が続々と参入し、今は各社による求職者の取り合いになっていると感じています。
MicoCloud導入前に実施していたマーケティング戦略について教えてください。
これまでは求職者様の新規集客に関してはリスティング広告、アフィリエイト広告、SEOなどの施策を実施。WEBサイトへ顕在層の流入を増やし、会員登録数を伸ばすという戦略をとっていました。
現在は、ターゲットである20代求職者の行動の変化にともない、SNSマーケティングに注力しています。20代の特徴として一日のうちSNSを使用している割合が高く、SNSを閲覧しているなかで出会う求人広告のほうがユーザーに届きやすい傾向があるからです。そのためプライベートの時間に見るSNSを活用した戦略へと変化することが求められていると感じています。
そのような状況の中、どのようなマーケティング課題があったのですか?
市場の変化に対して様々な対策を進めていましたが、「CPAの高騰」が課題になっていました。
広告の出稿により、Webサイトの流入が増えていましたが、広告費の高騰によって会員登録CPAが上がっていました。そのような状況にもかかわらず、広告流入したあとに離脱するユーザーに向けては対策ができておらず、言い換えると広告費を掛け捨ててしまっている状態でした。
また、求職者の就職・転職活動は、流動的で日々変化します。求職者様の選考が進むスピード、求人の掲載が増える時期や減る時期、市場の変化 など、就職・転職活動の動き方も変わりますよね。また転職エージェントを複数社、使い分けている方もいらっしゃるため、一度会員登録をした後、何らかの理由で面談まで至らないこともありました。そのため、登録者を面談に促す手法やタイミングを多様化する必要がありました。
加えて、こちらは人材会社共通の課題だと思いますが、求職者様がサービスを利用しない期間が長く続くと、いざ就職活動を再開した際に思い出してもらえず、再び利用してもらうためには再度広告費をかけなければならないといったことも起きています。そこでLINEのようにユーザーをプールしつつ、継続的につながりを持てるコミュニケーションツールを活用し、就活を再会した際にも再度想起してもらえるようにナーチャリングする必要があったのです。
実際に弊社の調査によると、就職活動における企業とのコミュニケーションで利用したいツールはLINEであるという結果がでています。このように、LINEへの対応は必須といえる状況でした。

どのような背景からMicoCloudを検討していただいたのでしょうか?
LINEに関しては先ほどお伝えしたような課題から、最初は私が独学でLINE公式アカウントを開設し、特定のキーワードに自動応答で求人が回答される形の施策を行っていました。しかし、LINE公式アカウントの友だち登録者数に伸び悩み限界を感じていました。
またLINEを活用したマーケティングと言っても、様々な手法があります。業界的にもっとも効果が出る方法は何なのかはもちろん、ユーザーインサイトを捉えたコンテンツの作成やクリエイティブ訴求の考案なども苦戦していましたね…
そのような状況の中、別部署からMicoCloudの紹介を受けたのがきっかけでした。
なぜMicoCloudを導入していただいたのでしょうか?
MicoCloudのご担当者様との打ち合わせを通して、弊社側のビジネスゴールや目的に寄り添ったご提案をいただけたからです。プロダクト概要の説明はもちろん、弊社のKPIを丁寧にヒアリングし、MicoCloud導入による効果のシミュレーションを提出いただきました。
弊社がLINE施策に専属の担当をつけられない中、この熱量があればやっていけるなと思ったこと、また人材採用業界における実績が豊富なことが決め手でした。
新たな会員獲得プロセスを構築。離脱者とつながりナーチャリングをおこなう。
MicoCloud運用における目的と、特に重視している指標(KPI)を教えてください。
私たちが追っている最重要KPIは面談数です。面談に至るまでのファネルとして、以下のような指標を追っています。
・新規友だち登録数
・会員登録数
・面談数
事業上、特に重要なKPIは面談数ですが、現フェーズで重要視しているのは友だち登録数です。まずは「アプローチできる対象を増やすこと」に注力しています。
一方で、当然ながら費用対効果が重要です。登録者が会員登録や面談につながっているかは常に確認しています。
MicoCloudを導入してからの戦略とLINEの役割を教えてください。

CPAを改善するために必要なのは、Webサイトに流入したユーザーが会員登録に至る割合を改善することです。 一般的にWebサイトの離脱率は97%といわれています。弊社でもサイトから離脱してしまう潜在層のユーザーに対していかに接点を構築し、繋がり続けて会員登録に導くかが非常に重要だと考えていました。
そこで、Webサイト上から離脱しようとするユーザーに向けてLINE公式アカウントに登録できる導線を用意し、ユーザーとの接点を構築。つながりを持ったユーザーをナーチャリングし、会員登録へとつなげる戦略を取っています。
サイト離脱の主な要因は、「サービス利用のニーズがなかった/伝わらなかった」か「その人の状況にあった情報を得ただけで満足してしまった/状況にあった情報を得られなかった」か「タイミングが悪かった」からなど多種多様です。ただし、どんなユーザーも流入をいただいた=弊社サービスや転職活動自体には興味を持っていらっしゃる可能性が高いと言っていいと思います。
LINE公式アカウントを活用した離脱防止の仕組みとナーチャリングはこれまでになかった「新しいプロセス」です。本来離れてしまうはずだったユーザーとつながり、その後も継続的なコミュニケーションが取れる状態がつくれたことは弊社にとって大きな意味がありました。
具体的にどのような施策をされていますか?
面談数の増加に向けてはLINEで2つの施策を行っています。
①新規会員の登録数の増加施策
②既存会員の面談数の増加施策
新規会員の増加施策では、ナーチャリングできる対象を増やすため、友だち数を追っています。まずは、WEBサイトへ訪れたユーザーをLINEへ誘導し、友だち数を増やします。
続いて、ナーチャリングを行うため、つながったユーザーに対してアンケートを送付。ユーザーの属性や転職意向を取得し、一人ひとりに適した情報を配信して、会員登録を促します。
また、既存会員向けには面談数の増加を目的に面談希望者に対してLINE上で面談のご予約が取れる機能や、お役立ち情報の提供をスタートしています。
実は弊社が当初LINE公式アカウントの運用を開始したときは新規の友だち数を増やすことに意識が向いていました。しかし、MicoCloudの担当者から最重要KPIである面談数の増加につなげるためには会員登録率や面談率を引き上げる必要があると、既存の登録者様へのフォロー体制強化も提案していただき、既存登録者様へLINE面談予約をはじめました。
ナーチャリング施策を実行する上で意識していたポイントはありますか?
ナーチャリングで意識していることは「ユーザーに嫌われないこと」と「適切なタイミングで送ること」の2点です。LINEに限らず、ユーザーへの情報はこちらの都合だけで闇雲に配信するとブロック率や退会率がどうしても高くなり、せっかくご登録いただいた機会を無駄にしてしまいます。
そこで提案いただいたのが「診断コンテンツ」です。診断という形式であれば、求職者の希望条件や意向、就職希望時期といった情報を自然な流れで伺うことができます。

この診断コンテンツのロジックを作るのが大変なのですが、MicoCloudの担当者が企画の草案を作ってくださり、弊社の作成したロジックをLINE上で形にしてくださいました。またクリエイティブや訴求も弊社のWebサイトに合わせて作ってくださり大変助かりました。
また、LINE公式アカウント登録の15分後から最大7日後まで、自動的にコミュニケーションを取り続けられる仕組みも一緒に構築しつつ、反応率や会員登録率などの定点観測もできるようになりました。
LINEからも新規会員を増やし、会員登録CPAを改善していく。
MicoCloudを導入してからの成果は、いかがでしょうか?
LINEの新規友だち登録者数は、WEBサイトからの登録だけで支援開始から1000名以上。広告経由で流入した求職者様をLINEでナーチャリングし、会員登録を促すことで新規会員ひとりあたりの登録CPAを改善していくことができています。
また既存会員様のフォローも、想定したよりも高い効果が現れています。LINE上で面談予約できるようになり、1ヶ月で15名程度の面談予約が入るようになりました。
今まで電話やメールで面談予約を受けておりましたが、電話ハードルが高いという方も多く、メールでは求職者様の見逃しもありました。LINEであればスキマ時間での返信も簡単で、求職者様もストレスなく対応できる部分が大きいと考えています。
現在、導入して1年3ヶ月目ですが、今後コミュニケーションを取れる友だちの数が増えるにつれ、事業に与えるインパクトも大きくなっていくと期待しています。
このような成果に繋がった要因については、どのように考察されていますか?
成果につながった要因は、「コミュニケーション接点の増加」と「ナーチャリング環境の構築」2点だと思います。
就職・転職活動の動きはとても流動的です。様々な事情により、就職活動をはじめたり、やめたりします。今は就職しなくても、6ヶ月後や1年後に活動を開始することもあるため、そのタイミングでコミュニケーションを取れる状態を作ることが重要です。
また、そのタイミングで想起してもらえる状態をつくるためには、適切なタイミングで情報を届けられ、嫌われづらい仕組みであるナーチャリングが必要です。MicoCloudを利用することで継続的にコミュニケーションを取りつつ、転職を開始するタイミングで第一想起をしてもらえるよう、求職者様に寄り添って役立つ情報を提供できています。
ありがとうございます。求職者様からは反響はありましたか?
求職者様からは、『LINEでやり取りできて面談予約が取りやすくなった。』『日中は電話対応やメールの返信ができなかったけど、LINEはスキマ時間で返信できるため手軽に利用できた。』などの反響をいただきました。選択肢が増えたことに対するポジティブな意見をいただいています。
視点を変えると、求職者様のタイミングで予約ができないことで面談予約率が下がっていたということです。求職者とのコミュニケーション手段を増やすことで、お客様の負担を減らしつつ、面談数の増加につなげられています。
施策を通じて何か気づきはありましたか?またそれをどう活かしていますか?
新規登録者と既存登録者とでは同じコンテンツでも反応率が違うなど、広告をただ回すだけではわからない面白い傾向に気づき、ユーザーの状態に合わせたコミュニケーションの重要性を再認識しました。
また、LINEではアンケートの回答率が高いこともメリットなので、これまで拾ってこれなかった「面談の時間は何時がよいですか?」というアンケートを実施。その結果を事業サイドに提案したりと、組織間のコミュニケーションも活発になりました。
求職者に寄り添うことが成果につながる。リソースを借りながら、価値あるサービスを提供していきたい。
今後の展望を教えてください
今後は、求職者様のインサイトをより深く突いたコンテンツ – 例えば、ノウハウ系だけではなくて、読み物として面白かったり、楽しかったりする記憶に残るようなコンテンツを配信したいですね。最適な情報を送ることでつながりを続けて、就職・転職の機会が発生したタイミングで「第二新卒エージェントneo」を使おうと想起していただければ嬉しいです。
特にLINEにおいては、双方向のコミュニケーションが取れる特徴を活かし、求職者の状況に合わせて、求職者様に寄り添った就職や転職のお手伝いができる体制をつくっていきたいと思っています。
最後に導入を検討されている方にメッセージがあれば、お願いします。
今回の取り組みを通じて、LINEはユーザーにとって価値のあるサービスを構築するのに欠かせないコミュニケーションツールだと痛感しました。
一方で、マーケティング担当者はできることが無限にありますし、複数のマーケティング施策を兼務しています。LINEをやりたいと考えても、リソースやノウハウが足りず諦めている担当者や企業も多いのではないでしょうか。顧客体験を向上させることは、今後当たり前に求められます。LINEでの接点を構築し、価値あるサービスを提供することが成果につながると感じます。今後も、MicoCloudさんの力をお借りしながら、さらに優れた顧客体験を構築していければと思います。
人材業界に関する事例
RGF HR Agent
リクルートグループ「RGF HR AGENT」がLINEを活用し、海外就職支援 LINE経由の面談設定率は全体平均の1.7倍
Industry:人材
Porpose:エンゲージメント向上

日総工産株式会社
求職者の9割とLINEでつながり、月間応募数は3倍に。日総工産が実現した、AI求人レコメンドと有人1to1による採用体験
Industry:人材
Porpose:1to1コミュニケーション

株式会社タイズ
業務管理システムとの連携で、LINEを含む異なるチャネル間のステータス管理とCRMを実践
Industry:人材
Porpose:エンゲージメント向上
