成熟市場を突破する『戦略的LINE活用』、保険見直し本舗が描く顧客体験の変革

株式会社保険見直し本舗

業界 :
金融・保険
課題・目的 :
LTV向上 エンゲージメント向上
予約数
130 %

長らく成熟市場と言われてきた保険業界では、商品自体のコモディティ化が進み、「どこで相談しても同じ」という顧客の意識が課題でした。しかし、保険見直し本舗は、この課題を踏まえ、「どうすればお客様に選ばれ続ける存在になれるか」という問いに向き合い続けました。

「保険の無料相談」を軸とした来店型ビジネスモデルを、全国350店舗以上で展開する株式会社保険見直し本舗。成熟市場と言われる保険業界において、なぜ成長を続けることができるのか?

その鍵は、単なる集客施策ではなく、顧客エンゲージメントを追求した事業戦略と、それを支えるテクノロジー活用にありました。見えない機会損失を解決するために導入したLINEでのコミュニケーション、そしてその取り組みが事業に与えた具体的なインパクトをお聞きしました。

株式会社保険見直し本舗
 代表取締役社長 遠山 拓馬 様(写真中央)
 マーケティング本部 アライアンス部 部長 前田 雅貴 様(写真左)

株式会社保険見直し本舗グループ
 事業企画本部 法人アライアンス企画推進部 部長 夏目 拓也 様(写真右)


効果と戦略

課題

  • 競合が多く、商品だけの差別化が難しくなっている
  • 保険ショップはお客様が来店しにくいイメージがある
  • 予約後のお客様とのコミュニケーションの行き違いによる面談機会の損失

戦略

  • 入りやすい店舗づくりを徹底し、来店ハードルを下げる
  • 面談予約後にLINEでリマインドメッセージを送り、お客様と信頼関係を築く
  • LINE上で担当者に1to1で質問や問い合わせがしやすい体制を仕組み化

成果

  • 面談実施率が全体で向上し、事業に大きなインパクトをもたらした
  • LINE通知メッセージや1to1チャットを組み合わせ、予約数3ヶ月連続前月伸長130%を実現
  • お客様はLINEで担当者へ気軽に連絡できるため、安心感につながる声が寄せられた

成熟市場で「来店型ショップ」に追い風

遠山様:現在の保険市場は、正直に言って「成熟市場」です。人口動態の影響も受けるので、少子高齢化で国内の人口が縮小している今、市場が爆発的に伸びる、といったことも考えにくい。

しかし、その中で、私たちが展開する来店型保険ショップの市場シェアは、年々拡大しています。

その背景には、お客様の行動様式の変化があります。

昔は大手の生命保険会社の営業職員の方が、お客様のご自宅を訪問して保険をご案内するのが主流でした。特に比較することなく、信頼する担当者がいるから保険に入る。それが長らく続いてきた商習慣でした。実は、ほんの5年ほど前まで、保険販売の半分以上のチャネルが訪問販売だったんです。

しかし、今は状況が大きく変わりました。インターネットで情報が手に入るようになり、保険商品自体も、昔に比べて非常に複雑化しています。お客様は、ある程度の知識を持った上で、最後に専門家へ相談し、納得して決めたいというニーズが高まっているのです。

この変化は、複数の保険会社の商品を比較検討できる来店型ショップにとって、大きな追い風となりました。お客様が自分で考えて選びたい、という世界観に移行しているのだと実感しています。

競合ひしめく市場で、店舗への「入りやすさ」を追求

一方で、競争環境は非常に激しい。この市場は、参入障壁がそれほど高くないため、規模を問わず多くの代理店が存在します。そして、扱っている保険商品はどこの代理店も概ね同じです。我々が作った商品ではないので、お客様からすれば「どこで相談しても同じ」という感覚に陥りがちです。

そうなると、差別化を図るのが非常に難しい。コモディティ商品を売っているなら価格競争に陥りますが、私たちは価格を決められません。

差別化の一つとして、各代理店はご相談いただいた方にノベルティを用意するなど、さまざまな工夫をしています。

しかし、私たちはそうした競争から抜け出し、より本質的な価値をお客様にご提案できる方法を追求すべきだと考えています。「保険見直し本舗ってこういうサービスだよね」「こういうブランドだよね」とお客様に思っていただける、独自の価値をどうやって提供していくか。ここが、最も難しいポイントだと考えています。

そこで私たちが目をつけたのが、「保険ショップは入りにくい」というイメージを払拭し、「入りやすい店舗づくり」を徹底的に追求することでした。

デジタル×アナログで顧客ファーストを徹底

遠山様:「入りやすい店舗づくり」という目標は、単なる意識改革ではありませんでした。私たちは、お客様の心理を徹底的に分析し、具体的な施策を講じました。

まず、皆様も経験があるかもしれませんが、保険の相談は、人生の大きな決断に関わるものです。お客様は「高い買い物」という認識があり、「強引に勧められたらどうしよう」という不安を少なからず抱えています。そのため、そもそも来店するハードルが非常に高いサービスなんです。その上、多くの保険ショップは、飲食店等とは異なり、回転率が高いサービスではありませんから、常時賑わっているという雰囲気ではありません。店舗の奥に机があり、スタッフがパソコンと向き合って黙々と作業している。そうした光景は、さらに入店をためらわせる要因になっていました。

この課題を解決するため、私たちはまず店舗の物理的なレイアウトを変更しました。

ショッピングモールでは、通路と店舗を隔てるラインを「リースライン」と呼びます。そのリースラインギリギリの場所に「受付席」を設けました。お客様との距離を物理的に縮め、さらにスタッフには「ルックアップ」という標語を掲げ、パソコンの画面ではなく、お客様の方を向くことを徹底させました。通りがかるお客様一人ひとりに笑顔で挨拶をし、話しかけやすい雰囲気を作る。これは、スタッフの意識改革から始まった、最も分かりやすい取り組みです。

しかし、これだけでは不十分だと感じました。意識だけに頼っては、サービスの品質にばらつきが生じてしまうからです。そこで導入したのが、AIカメラでした。

AIカメラを全店舗に導入し、パンフレットが並んでいるラックの前で10秒以上立ち止まったお客様を自動でカウントできるようにしました。その数に対して、実際にスタッフが声をかけられた人数を可視化することで、どれだけの「機会損失」があったのかを数値で把握することに成功しました。

例えば、立ち止まったお客様が100人いたとして、声をかけられたのが70人だとすれば、残りの30人は何らかの理由で、対応できていないわけです。この30人の中には、声をかけられれば相談につながったかもしれないお客様がいたはずです。

AIカメラでデータ解析をすると、なぜ声をかけられなかったのかという理由まで追いかけることができます。意識だけでなく、事実に基づいた反省と改善を繰り返すことで、サービスの品質を徹底的に向上させていく。

このデジタルとアナログを組み合わせた徹底的な顧客ファーストの姿勢が、私たちの成長を支える根幹にあると思っています。

なぜ「LINE」だったのか?見えない機会損失をなくすための戦略的決断

遠山様:「入りやすい店舗づくり」によって集客に成功しても、次の段階で新たな課題が浮上しました。それは、「予約をしたにも関わらず、実際にお客様に会うことができない」という、見えない機会損失です。

せっかく来店予約をしてくださったお客様のうち、約2〜3割は会えずに終わってしまっていました。もちろん、単純に都合が合わなくなりキャンセルも含みます。

しかし、その半分ぐらいは「コミュニケーションの行き違い」によるサービス提供の断絶だと感じていました。

電話やメールだけでは、お客様との連絡がなかなかスムーズにいかない。この課題を解決するために、私たちはLINEに注目しました。

LINEは、日本国内で9,700万人以上が利用する、生活に不可欠なインフラです。

私自身、LINEを使っていない人を探す方が難しいと常々思っていました。しかも、多くの人が毎日何度もチェックするプラットフォームです。このLINEをコミュニケーションのツールとして活用することで、予約したお客様と確実につながり、本来サービスを求めていたお客様に届けられないという機会損失をゼロにしたい。

この思いが、「Mico」のLINE活用システム(Mico Engage AI、BizClo)の導入を決定づけました。

夏目様:システム導入だけでなく、コンサルティングから運用、そしてリリース後のサポートまで、すべてをマネージしていただきました。

プロジェクトメンバーにシステム部門を持たない私たちの体制でも、ライトに、そしてスピーディに導入できたのは、Micoの伴走支援があったからです。

数%の面談実施率向上がもたらした、想像を超える事業インパクト

遠山様:LINEの導入は、まず「面談実施率の向上」という明確な目標からスタートしました。そのための具体的な施策が、予約したお客様へのリマインドメッセージ配信です。

導入前は、予約から面談当日まで、お客様と連絡を取らないこともありました。予約フォームで手続きを終えたお客様は、「本当に予約できているのかな?」「忘れられてないかな?」といった不安を抱えていたかもしれません。

私たちも、大事な話をするお客様に対して、予約フォームからの送信と自動返信メールという無機質なやり取りだけで当日を迎えるよりも、良い方法があるのではと考えていました。

そこで、面談の3日前に「当日お会いできるのを楽しみにしています」というリマインドメッセージをLINEで送ることにしました。これは、お客様に「あなたの予約はちゃんと把握し、準備していますよ」という安心感を届けるためのメッセージです。

LINEには電話番号を起点としてメッセージを送信できる「LINE通知メッセージ」(※)機能があります。この機能を活用し、LINEでつながっていないお客様にも連絡する手段ができました。

(※)LINE通知メッセージは、お客様からお問い合わせ時に取得した電話番号を起点にLINEでメッセージを送信できるサービスです。送信内容は事前に審査に申請します。

遠山様、前田様:そして、この施策は、期待以上の効果を生み出しました。
導入後、面談実施率が全体で数%向上しました。「たった数%か」と思われるかもしれません。

しかし、当社の全国の店舗数と予約総数を考えると、これは非常に大きな数字です。さらに、数字には表れない部分で、お客様から「メッセージを見て、安心して当日を迎えられた」という声があったことが、何よりの成果だと感じています。

この成功の裏側には、現場の担当者による細やかな1to1のコミュニケーションがありました。

LINEでリマインドメッセージを配信すると、お客様から日程変更や予約内容の確認といった返信が来るようになりました。

これまでは、このような問い合わせは電話でしか受け付けていませんでした。

しかし、LINEのチャットであれば、お客様は自分の都合の良いタイミングで、ストレスなく連絡ができます。私自身、車の車検予約を電話でして、当日まで不安なまま過ごす、という経験があったので、この不便さを解消したかったんです。結果として、無連絡でのキャンセルを防ぎ、電話応対にかかるスタッフの工数も削減できました。

1to1トーク機能については、現場のスタッフからも「お客様一人ひとりの状況がわかりやすく、ラベル付け機能で管理しやすい」といった声が挙がっており、使い勝手の良さが、顧客満足度向上に貢献していると実感しています。

100万世帯の顧客基盤を活かす未来のプラットフォーム構想

遠山様:私たちのLINE活用は、面談率向上だけにとどまりません。さらに進化させ、壮大な未来像を描いています。そのビジョンの中心にあるのが、「ライフサポートプラットフォーマー」への進化です。

現在、私たちはグループ全体で約100万世帯を超えるお客様とご縁をいただいていますが、連絡手段が電話のみというケースも少なくありません。全てのお客様に対して電話をかけるのは現実的ではありませんが、LINEの力を使えば、既存のお客様とも気軽につながれるようになります。

これこそが、私たち独自の強みです。

将来的な構想として、LINEを単なるコミュニケーションツールとしてだけでなく、事業の進化を支える基盤として捉えています。今後は、初回面談後のフォローにも活用し、サービス品質全体の向上を目指します。

さらに、若年層に向けた新たなアプローチとして、まずはハードルの低い「家計の見直し」情報をLINEで提供し、そこから保険相談へとつなげることで、潜在顧客層の獲得を狙います。将来的には、介護や健康相談など、保険の枠を超えた多様な「ライフサポート」を提供することで、お客様にとって「人生の節目に真っ先に思い浮かぶ存在」となることを目指しています。

この取り組みはまだ始まったばかりですが、私たちが描く「ライフサポートプラットフォーム」の実現に向け、LINEが重要な役割を担っていくことは間違いありません。

私たちは、デジタルとアナログを融合させることで、これからもお客様とのより良い関係性づくりに挑戦し続けます。

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