「生命保険の新たなあり方」を追求。お客さまの人生に寄り添い続ける第一生命のカスタマーサクセス
第一生命保険株式会社
- 業界 :
- 金融・保険
- 課題・目的 :
- 1to1コミュニケーション LTV向上 エンゲージメント向上

デジタルでつながる顧客接点数が7か月で急増。シームレスなサポート体制でCSMの業務効率と顧客エンゲージメントを両立
第一生命保険様は「必要なお客さまに必要な保障と安心をお届けする」ため、生命保険のあり方そのものの進化に取り組まれています。
その進化を支える核となるのが、生命保険業界では初※となるCSM組織(カスタマーサクセスマネージャー)の設立です。同組織の最大のミッションは、対面とデジタルを組み合わせ、お客さまとの途切れのない、温かい顧客接点を構築することにあります。
※2022年度10月、CSM取組開始時点、同社調べ
本記事では、この重要な顧客接点の改善に向けた取り組みと、BizClo導入によるお客さまとのエンゲージメント向上やシームレスなサポート体制といった、取り組み内容とその成果についてお話しを伺いました。
ビジネスプロセス企画部 カスタマーサクセス企画課
高山 裕基様
妻鹿 忠夫様
カスタマーサクセス部 カスタマーサクセス業務推進課
千葉 容子様
木下 菜々子様
対面とデジタルを融合し「途切れぬフォロー」を実現する
妻鹿様
第一生命は、“お客さま第一”を基本理念に、1902年の創業以来、人々の暮らしと安心をサポートしてきました。生命保険に込められたお一人おひとりの未来への思いに寄り添い、社会とともに歩み続けてきた会社です。
私たちが最も重視しているのは、「必要なお客さまに必要な保障と安心を届けること」です。ライフスタイルが多様化していく中で、お客さまの人生に寄り添い続けるために、生命保険のあり方そのものを進化させていく必要があると考えています。

お客さまフォローを二人三脚体制へ、全国に広がるCSM(カスタマーサクセスマネージャー)
千葉様

従来の当社の活動は対面営業担当(生涯設計デザイナー)との会話がメインでした。現在は、非対面のCSMと生涯設計デザイナーが二人三脚でお客さまをフォローする体制をカスタマーサクセス組織(CSM)で構築しています。「途切れのないフォロー」が最も大切なポイントです。

この取り組みは、最初は小規模に一部の課という形で取り組みを開始しました。その後、2024年から部として組織を立ち上げました。2025年度にはフルリモートの課を新設し、より多様な形でお客さまをフォローできるよう拡大を進めています。
当初の数拠点から、現在は全国14拠点まで拡大しました。新設拠点ではCSMが十数名、成熟した拠点ではそれ以上の規模で運営しています。各CSM一人あたりも多くのお客さまを担当しています。
ご契約の節目はもちろん、お客さま一人ひとりに寄り添い、個別の状況に応じた適切なタイミングでフォローを行っています。
デジタル化の先にある、より「人間味のある」顧客接点の追求
高山様

私たちビジネスプロセス部が担う役割は、お客さまにとって最適なサービスを提供するための業務設計と、それを支えるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進です。
特に大切にしているのは、「お客さまに向きあうこと」と、「現場のCSMがお客さま対応に集中できる環境をつくること」です。お客さまが求めるアフターサービスは多様化しており、紙や対面だけでなく、デジタル接点でのコミュニケーションを高度化しなければ、途切れのない安心を提供し続けることはできません。
また、デジタルツールのアプローチを検討する際も、単に効率化を追求するだけでなく、「いかに人間味のある、温かい体験を提供できるか」という視点を常に持ち、お客さまとCSM、双方にとって最善のプロセスを追求し続けています。
妻鹿様
対面でのお客さまフォローは生涯設計デザイナーが行いますが、セルフサービスの基盤を整えることも重要と考えています。お客さまがご自身でサービス利用や手続きを行えるよう、「ご契約者専用サイト」というサービスを提供しています。
また、手続きの面でデジタル化も進めています。従来は紙での手続きがメインでしたが、現在は生涯設計デザイナーがお客さまの面前やWeb通話でご説明をしながらの電子署名に移行しています。これにより、お客さまの手続きの負担が軽減されるだけでなく、手続き後の社内処理も格段にスムーズになりました。
このように、単にすべてをデジタルに置き換えるのではなく、「デジタル」と「対面」を組み合わせることで、お客さまにとって最も安心で、利便性の高い体験を提供することに注力しています。
顧客接点の「途切れ」を解消し、能動的なサポート体制を構築
木下様

CSMは複数名のお客さまを担当しています。お客さまお一人おひとりが必要とするアフターサービスは内容・頻度等それぞれ異なるため、ニーズをキャッチして記録しています。お客さまお一人おひとりに寄り添った対応をするためにはCSMがより迅速かつ適切なタイミングでアフターサービスを提供することが課題でした。
高山様

もともと、私たちはお客さまとのコミュニケーションにビジネス版LINEを利用していました。しかし、CSM担当者が人事異動等に伴い変更する際に、お客さまに再度、新しいCSMと友だち登録をしていただくという手間が発生していたのです。
これにより、数パーセントのお客さまとの接点を失ってしまうという課題や顧客体験上の問題もあったため、これらを解決するために、LINE公式アカウントへご登録を促す方針としました。

私たちが目指す「途切れのないフォロー」を実現するためには、この課題を解決しなければなりません。そこで、CSM担当者が変わってもお客さまとの関係が続くLINE公式アカウントに移行してサポートしていく構想に至り、実行しています。
まずは、この大きな課題に対してBizCloを利用し、解決を目指しました。
カスタムアイコン機能は大きな魅力です。公式アカウントでありながら、お客さまには「1対1のサポート体制」だと認識していただきたかったため、CSM担当者個人を識別できるアイコンを設定できる点は重要です。

また、しっかりとしたサポート体制、画面が非常に見やすくUIも使いやすそうだったこと、そして権限管理も活用できそうだと判断したことも、大きな決め手となりました。
デジタル接点数が7か月増加、業務を効率化しお客さまと向き合う時間を増やす
木下様
CSMの活動においてはお客さまとLINEやメールなどのデジタル接点の構築が重要です。
特に利用が多いLINE公式アカウントへのご登録は、ご契約後に生涯設計デザイナーによる案内や、リーフレット・ダイレクトメールへのQRコード掲載を行うことで推進してきました。
BizClo導入後、LINEの有効友だち数は増加し続け、以前は約3年間で約7万人が上限値でしたが、2025年4月の開始から約7〜8か月で約12万人まで増加しました。

デジタル接点の増加要因の一つは、LINE公式アカウントで通知メッセージ機能が利用可能になったことです。これにより、控除証明書や重要なお知らせをLINEから配信できるようになり、メッセージをきっかけにお客さまとのつながりが増えるという大きな成果を得ました。
また、BizCloの一斉配信・セグメント配信機能は、以前手動で行っていた事務的な連絡を効率化し、例えば、年末年始のお知らせなどを一度で確実に全てのお客さまに届けられるようになりました。この業務効率化により、CSMがお客さま対応業務に集中し、お客さまに向き合う時間が増えています。
「引継ぎストレス」を無くし、チーム連携強化でお客さまをお待たせしないシームレスな顧客サポート
木下様

チーム連携の面も大幅に改善されました。CSM担当者が変更になった場合や突発的に休務になった場合でも、上席者がトークルームを確認できるようになったのは大きな変化です。代理送信も可能なため、お客さまをお待たせすることなく、シームレスなサポートが継続できています。

また、エンゲージメントも向上しています。夏期休暇の連絡に対して「ゆっくりしてくださいね」といったメッセージをいただくなど、双方向のコミュニケーションが実現できています。
お客さまがスタンプや短文で気軽に返信しやすい文書を心がけています。たとえば、当社が毎年行っているサラ川コンクールの時期には、「私のお気に入りの川柳は〇〇ですが、お客さまのお気に入りの句はありますか?」といった、問いかけのメッセージを添えて配信したことがあります。
その結果、お客さまから「私はこの句が好きです」「楽しい川柳ありがとうございます。」といった、温かいリアクションやスタンプを数多くいただくことができました。
これは、お客さまに「一対一で話しかけられている」と感じていただけた証拠だと考えています。このような小さな工夫が、デジタル上の温かい接点となり、お客さまとのエンゲージメント向上に繋がっていることを実感しています。
妻鹿様

BizCloでは、Micoのカスタマーサクセスやプロダクトチームとのコミュニケーションを通じ、私たちの課題に真摯に耳を傾けていただいており、システム改善のスピードも速いことから、お客さま対応を進化させることができていると感じています。
お客さまの行動変容やペインポイントなどのデータを活用し、顧客満足向上と事業成長へ

千葉様・木下様
全てのお客さまとのデジタル接点構築はまだ途上ですが、今後、担当顧客数は増加が見込まれます。デジタルデータを活用することで、お客さまが増えてもサービスの質と均一性を維持します。
また、双方向のつながりを重視し、こちらからの一方的な連絡に留まらず、CSMとして認識され、お客さまからも能動的にご連絡いただける関係構築を目指します。

妻鹿様・高山様
今後も業務効率化と顧客対応力のさらなる進化を図り、生産性の向上を目指します。
また、これまでの活動を分析し、お客さまのニーズが高い領域への対応を強化していく考えです。
私たちカスタマーサクセス組織の最大のミッションは、お客さまに寄り添い、途切れのないお客さまごとに最適なサポートを提供することにあります。
お客さま満足度の向上は、単なる理想論で終わるものではありません。お客さまに満足と「安心」を提供することで、結果として解約率の抑制や、保障の見直し等を通じたアップセル・クロスセルといった、副次的な経営効果も期待できます。
今後も、お客さまの態度変容やペインポイントなどの多様なデータを活用し、一人ひとりのお客さまを深く理解していくことが、顧客満足と事業成長を叶えていきたいと考えます。