LINE経由の入会率は前年同月比1.8倍。ロイヤリティの高い見込み顧客とつながる通信教育「月刊ポピー」のコミュニケーション
株式会社新学社
- 業界 :
- 教育
- 課題・目的 :
- 新規集客
- 入会率
- 1.8 x
- LINE入会者の継続期間
- 105 %
- 新規入会のLINE獲得比率
- 10 %

少子化が進むなか、子ども一人ひとりの教育ニーズは多様化・個別化しています。こうした状況下で、家庭教育の重要性も高まり、子どもの個性に寄り添い、継続的な学びを支援するためには、顧客との強い信頼関係(ロイヤリティ)を重視したサービス提供が不可欠です。
家庭学習教材「月刊ポピー」を提供する新学社は、LINEを活用した見込み顧客へのコミュニケーションを実践。LINEを通じて学齢に合わせた家庭学習のアドバイスや、教材を試せるコンテンツを提供することで、家庭教育のあり方へ共感・納得するファンを増やし、新規入会へとつなげています。LINEを接点とした共感を深めるコミュニケーション施策について詳しくお話を伺いました。
ポピー事業部 CXセンター
山本 拓弥様
ポピー事業部 CXセンター
石倉 みなみ様
効果と戦略
課題
- 少子化に伴い、国内の教育関連市場が縮小
- 競合と比較してブランド認知度・想起率が低い
- LTV向上にむけたロイヤリティの高い顧客との接点構築が必要
戦略
- LINEを活用して見込み顧客との接点を強化、ロイヤリティの高い顧客とつながる
- 学齢ごとのシナリオ配信と、子育て・家庭学習に関するコラムの情報発信で信頼関係構築
- 知育ゲーム、教材見本などの体験コンテンツで学習イメージを具体化
成果
- LINEからの入会率は前年同月比約1.8倍
- LINE経由入会者の継続期間は全体平均と比べて5%長い
- デジタル経由の新規入会者全体のうち約10%がLINE経由
親子間コミュニケーションを促す家庭学習教材を提供

山本様: 新学社は学校向けのテスト・教材制作を軸に、家庭学習教材の提供と学習塾の運営を行っており、「学校」「塾」「家庭」という三つの教育現場をカバーしています。「月刊ポピー」(以下、ポピー)は、創刊から50年以上の歴史を持つ、幼児から中学生を対象とした家庭学習教材です。
石倉様: お子さまの年齢に幅広く対応できる教材を揃えていますが、とくにお客様からのシェアが大きいのは幼児を対象とした「幼児ポピー」です。当社として幼少期の教育で大切にしているのは、学習を通じて親子間のコミュニケーションを生み出せる体験です。デジタル教材の普及が進むなか、あえて紙の教材を中心に採用しています。ハサミで切ったり、シールを貼ったり、指先を動かすという体験は、お子さまの創造性や好奇心を育む上で重要だと考えています。
タブレット学習ですとどうしてもお子さまが一人で取り組むことが多くなりがちですが、紙教材であれば、親子で一緒に課題に取り組んだり、できたことを褒め合ったりといった会話が自然と生まれてきます。
中長期で顧客とつながり、ロイヤリティを高める

山本様: 教育業界全体の課題ですが、少子化により対象顧客の母数が年々、縮小傾向にあります。また、通信教育サービスについても、大手企業が展開するものをはじめさまざま存在しています。そして、YouTubeやアプリ、ゲームなど、お子さまの可処分時間を使う選択肢も増えてきています。
そのような状況下で家庭学習に時間をかけ、「ポピー」の教材を手にとっていただくためには、保護者の方々がお子さまの学習について考え始めたタイミングで、「ポピー」を想起していただく必要があります。そのためには、保護者の方が求める情報を的確に捉えて、必要なタイミングでお届けすることが重要です。
たとえば、保育園入園前のお子さまに「コミュニケーション力を育んでほしい」と考えていらっしゃる保護者さまには、親子の学びの共有を促進する教材の特徴をお伝えし、年長さんになるタイミングで「来年の小学校入学に向けて学習準備がしたい」と考える方には入学前の学習ポイントをお伝えする、といったようなイメージです。
新学社では2017年頃からLINE公式アカウントの運用を始めています。当時はLINEというコミュニケーションツールが普及し始めた過渡期で「中長期的にお客様と直接つながるチャネルになるのではないか」と考えたのがきっかけです。運用を続けるなかで、戦略的にお客様とのコミュニケーション設計をおこない、LINEという顧客接点をさらに活かしたいと考え、2023年7月にMicoCloudを導入しました。

石倉様:現在は「ポピー」入会前の保護者の方々に向けたコミュニケーションチャネルとして活用しています。具体的には、LINE登録時にお子さまの学齢をヒアリングし、学齢ごとに教材の特徴やそこから得られる学びをお伝えするシナリオ配信フローを展開しています。また、LINEから「ポピー」の教材をお試しできるコンテンツや、子育て・家庭学習に関するお悩みに応えるコラム情報の配信を定期的におこなっています。
LINEからの入会率は前年同月比1.8倍。入会後も学習継続しやすい。
山本様: MicoCloudの導入後、LINE経由の新規入会数とその後の継続の両面で、非常にバランスの良い成果が出ていますね。LINE経由の新規入会者の割合はデジタル全体入会者の10%近くを占めており、重要なコミュニケーション接点になっています。
特筆すべきは、LINEから入会した会員の継続期間が長いことです。LINE経由の入会者の継続期間は全体平均と比べると約5%長い傾向が見られ、指名検索広告で入会してくださる方とほぼ同等の水準を維持しています。これは、LINEでのコミュニケーションを通じて、ポピーの教材価値や教育に対する考え方に納得して入会してくださる割合が多く、学習の継続につながっているのではないかと考えています。
石倉様:LINE友だちの入会率は前年同月比で1.8倍となっています。また、2024年8月以降、継続的に上昇傾向にあり、保護者さまの温度感を高めることができています。
そのためのLINE施策として、お子さまのご状況や保護者さまのお悩みにパーソナライズした配信フローへの改善を重ねながら、子育て・家庭学習へのお悩みに応える情報の配信を定期的におこなっています。

石倉様:LINE友だちのなかでも「今すぐ家庭学習を始めたい!」という方と「まずはお子さまの教育について考えたい」という方では求める情報のニーズが異なります。
そのため、公式サイトから直接登録してくださったユーザーと「LINEで学習診断」をきっかけに追加したユーザーで、LINEからのコミュニケーションフローを分けています。
そして、LINE友だち追加後にお答えいただくアンケート回答を踏まえ、お子さまの学齢ごとに教材の特徴や学習のポイントをお届けするようにしています。
とくに幼児期のお子さまは年齢が違えば適した学びも大きく異なります。
お子さまに応じた学びや保護者さまのお悩みに応えるメッセージ配信となるよう、日々見直しをおこなっています。
教材をお試しできるLINE限定のコンテンツも用意しています。ドリルの一部をお試しいただけるダウンロード教材や、知育ゲームを提供しています。ポピー入会後のお子さまの学習イメージをもっていただける体験を意識しています。
紙×デジタル教育を融合 パーソナライズ配信で家庭学習支援を進化
山本様:お子さまの状況や、かなえたい教育に応えるパーソナライズコミュニケーションに注力したいと考えています。そのために、お客様一人ひとりの情報、希望をデータとして取得・活用をおこない、より効果的なコミュニケーションを実現したいですね。新学社としてデータ活用にも力を入れているため、顧客管理システムと連携したLINE配信を構想しています。
石倉様: 入会後の会員さま向けにもLINEを活用していきたいです。入会後も継続的にポピーでの学習を深める伴走をおこなうことで、「来年からの小学校入学に向けて学習準備がしたい」「タブレットだけでなく五感を使った体験をしてほしい」「親子でコミュニケーションを取りながら学びを共有したい」といった思いに応える存在でありたいですね。お子さまの教育を支えるパートナーとして信頼関係を築いていけたらと思います。